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抱負

一年の抱負を書いた。あまり高い目標を掲げてしまうとかえってモチベーションが下がるかもしれないと抑えめなものにした。そこで、寝坊しないで初仕事に出掛けると記した。しかし、残念ながら初日から寝坊し一年の抱負を達成できなくなった。もっとハードル…

いろんな気持ち

初詣の賽銭は空中を舞っている間に鳥が咥えて持ち去ってしまった。してやられたという気持ちと珍しい出来事を見られたという気持ちが涌き上がった。帰り道で先程の鳥が頭に小銭を落としていった。嬉しい気持ちと腹立たしい気持ちが涌き上がった。多感な一年…

おとしだま

正月に実家に帰った。親からサブライズで貰ったお年玉は金額はそのままでぽち袋だけを変え、自分の元から甥っ子の所へと移ってしまった。しかし、こちらもサプライズで用意されていたビールサーバから飲んだアルコールは休みが明けても自分の元に体重という…

ピアノの練習

「ピアノの練習行きたくない」娘が愚図った。先生から与えられた課題曲がうまく弾けないらしい。「もう、ピアノやめる」そう言って娘は部屋に行ってしまった。しばらくして妻が居間でボカロの曲を弾き始めた。すると部屋から娘が戻ってきて「ママ、これどう…

冬の動物園

「動物園に行きたい」「何でこんなに寒い時期に動物園?」彼女の要望に僕は疑問を呈した。「寒い中でも頑張っている動物たちを見て私たちも冬を過ごすためのモチベーションを高めるの」動物園に行くと真っ先に、柚子を浮かべた温泉にぬくぬくと浸かっている…

お誘い

「学生時代の女友達とかと家で鍋やるけど来ない?」素敵な誘いを受けて胸が高鳴ったが、女性だけの所に一人で行くのは緊張すると、すぐに返事ができなかった。ようやく勇気を出し参加を伝えたら、他の同僚達が替わりに参加することになっていた。そして今日…

冬眠

「今日寒いね」妻が言った。「ほんとに」そう言うと僕は晩酌のおつまみだったピーナッツを噛み、野菜ジュースを飲んだ。「こんな寒いのによくそんな冷たいもの飲めるね。それに朝からピーナッツなんてリスみたい」「じゃあ、冬眠してくるよ」僕はそう言って…

隣人

雪掻きをした後でかまくらを作った。部屋に戻り熱燗を持ってきてかまくらのなかで一杯やった。自分の新しい家を作ってもらったと勘違いしたのか、犬がなかを覗きにきた。「よう隣人」そう声を掛けたが、犬はプイと向こうに行ってしまったので、後で餌を持っ…

違和感

「長い間言えなかった事がある」男は言い難そうに続けた。「実は俺、年齢を十歳若く言ってたんだ」女は俯いたまま「そう」と呟いた。「実は私も十歳若く言ってたの」「ええ、マジかよ〜?」「マジウケるっしょ〜?」一瞬、二人の会話は弾んだが、若者言葉に…

季節外れの水着

「なんでこんな季節に水着買ったの?」買ったばかりの水着を妹に見せたら呆れられた。「だってさ、シーズンオフだと安いんだよ」「でも、流行があるじゃん」「水着なんてそんなに変わらないよ」「まあね、変わるのはお姉の体重だけか。来年までそっちが変わ…

クリスマスバイト

準備中にクリスマスソングを口ずさんでいたバイト仲間に「クリスマスにバイトなのに陽気だね」と尋ねた。「そんなの気にしててもね」確かに今更どうしようもないと僕も気持ちを入れ替えた。閉店近くに女性客が現れた。「お疲れさま!店の外で待ってるね」彼…

穏やかな生活

クリスマスの日は一日中穏やかに過ごそうと妻と決めた。僕はとりあえず一日中ニコニコすることにした。妻がネットで誤発注したとか、飲み過ぎでリバウンドしたとか、帰省の新幹線予約忘れたと言った事に対し全てにこやかな表情を浮かべていたら「何ずっとニ…

クリスマスホワイト

ハンドベルの音を聴きながら僕らは手を繋いだ。二人とも毛糸の手袋をしてたので子ども同士が手を繋いでいるような感覚だった。「今夜、クリスマスホワイトになるかな?」彼女は言い間違えたのだろう。でも、そんな色があったらいいなと僕はクリスマスツリー…

ゲレンデ

「スキーに行きたい」寒い所は苦手と言っていた娘がお願いしてきた。「どうしたの急に?」私は尋ねた。「オフィスで働いている時の私とゲレンデの私のギャップを見せるの」娘はマセた発言をした。「それならまずオフィスで働けるように勉強をしなさい」私は…

優雅な時間

たまには優雅に時間を過ごそうと、普段はしないようなお洒落もしてクラッシックコンサートに行った。しかし、公演最中に思いきり寝てしまった。「せっかくおめかしまでして来たのに寝るなんて」一緒に行った母は呆れ顏だった。「でもね、おかげでとても優雅…

影響

「黙ってたけど、俺は遥か彼方にある星から来たんだ」同級生が急に語り出した。そういや一昨日テレビでSF映画やってたなと思い出した。「昨日一日はそれ言いたいの我慢できたんだ」僕は尋ねた。「一日というのは地球でのことか、それとも我が星でのことか」…

伊達メガネ

花粉の季節はコンタクトをしたまま伊達メガネを掛ける時がある。ある日、コンタクトをし忘れて伊達メガネだけで出掛けてしまった。すぐに気付いたが家に戻る時間がなかった。メガネを掛けたまま、ものすごく顔を券売機に近づけて切符を買っていたら、周りに…

笑わせる

「期待はずれだった」彼女は言った。「もっと笑わせてくれる人だと思ってたのに」確かに付き合ってから試験勉強とバイトで毎日忙し過ぎた。「僕ら笑顔が少なかったね」「うん。ねえ、最後に思いきり笑わせて」僕は渾身の一発ギャグをやった。「やっぱり、つ…

仮装

「最近はここもカソッてきてね」久々の帰省で顔を合わせた友人は呟いた。「過疎ってという言い方するんだ?」「ああ、華やかな響きだろ」僕はその言葉に華やかさなど感じなかった。「これ、この間の町おこしの写真」そういって見せられた写真にはコスプレ大…

雰囲気改善

「共同キッチンから食材がなくなったりしてます。管理を徹底してください」とオーナーが言った。「誰そんなことするの?」シェアメートが不機嫌に呟いた。「それってねずみじゃない?」俺は気まずい雰囲気を和らげようと言っただけなのだが、キャーっとみん…

自分の作品

造形作家がリンゴを2つ持ってきた。「片方は本物のリンゴで他方は私が作ったリンゴです。当てたら賞金を出すが、外れると罰を与えます」ある男が立ち上がった。「馬鹿げてる」男は靴を投げつけようとした。作家は咄嗟にリンゴの一つを庇った。男は言った。…

とりあえず

家の近所を歩いていたら、かなり遠くから手を振ってきた人がいた。後ろを振り返ってみても誰もいない。知り合いかもしれないので軽く会釈したが、まだ手を振っている。もう一度会釈したが何だか気恥ずかしくなりその姿勢で横道に逸れた。すると向かいから来…

雰囲気作り

DVDを観る前にローテーブルにシャンパンを置いて準備し、蛍光灯を点けるか、スタンドの灯りだけにするか、それとも真っ暗で観るかと雰囲気作りにだいぶ悩んだ。しかし、映画開始後30分もしないうちに深く眠り込んでしまったので、結局、部屋がどんな明るさ…

習慣

最近は滅多にしない腕時計を久々にはめた。今まではそんなこと感じた事もなかったが、腕時計をしている左腕が少し重い気がした。そこで、普段左ポケットに入れているスマホを右ポケットに移してバランスをとった。家に帰っていつもの左ポケットにスマホがな…

コンペイトウ

お土産にかわいいコンペイトウを貰った。せっかくなのでしばらくテーブルに飾っておこうと思いシャンパングラスに入れておいた。ある日、このままシャンパンを注いで飲んだらどうなるだろうと思い試したら、コンペイトウが一気に口に入ってしまい、口の中に…

包装紙

高級感のある包装紙が何かの役に立たないかと思い手で触っていたら、いつの間にかコヨリをたくさん作っていた。このコヨリがどれだけ高級感があるか出来映えを試そうと鼻に入れたら、大きなクシャミが出てコヨリが四散した。どうやら包装紙は私に掃除をさせ…

前衛的

久々の日曜大工で椅子を作った。完成してニスを塗るという段階の時に、ニスを塗らずに木の素材感を出したままにしようか、良い木材を使用したわけではないのでニスを塗って高級感を出そうかと悩んだ。結局、前衛的になるかと一脚だけニスを塗って家族に見せ…

工場見学

デートでお菓子工場へ見学に行った。工場萌えする彼と甘党の私の妥協点としてのデートコースだ。最初は甘い香りに満たされた空間が気に入りずっとここにいたいと思ったのだが、途中からは食傷気味になっていった。しかし、彼は見学後もしきりに興奮していた…

寮生活

若い頃、寮生活をしていたなかでの一番の鬱陶しい思い出は、朝、洗面所で忙しく身支度をしている時に、ある寮生が「ドラ!イヤー」と言ってドライヤーの風を耳に当ててくることだったと語っていた同僚は、「当時は風にたなびくほど髪の毛があったな」と鏡の…

白い風船

白い風船をたくさん買ってきた。頬の筋肉が吊りそうになるほどたくさん風船を膨らませて部屋の四隅に飾った。夜に妻が帰ってきて「いったい何の記念日」と目を輝かせた。「たまにはこういうのいいんじゃない?」翌日、萎んだ風船の間から床が現れ、掃除をご…

ほつれ

いつもの机とは違う場所でノートパソコンを使った後でケーブルを片付けようとした。コンセントまで遠いためケーブルを真っ直ぐな状態にして繋げていたので手の甲に巻きながら回収していったら、いつまでもコードが巻き終わらなくて、気付いたら家の壁がセー…

走る

「もう、これ以上走れない」なだれ込むように座り、空を見上げた。額から吹き出た汗が首筋に流れ落ちる。頑張った。だれが見ても、たとえ褒めはしないにしても不満を抱く者はいないだろう。こういう風に芝居仕立てにすることで、何とかダイエットのモチベー…

師走

師走に一番早く走っている人はどんな職業なのだろうという話になった。飲食業とか年末決算の経理担当とかイベント運営関係とか挙げていくうちに、友人が、「元旦や二日目だったらわかりやすいのに」と言ったので聞いてみた。「そりゃ、元旦はサッカー選手で…

引戸の棚を買った。使っていた棚は扉がなかった。その方が部屋が広く見えるし、棚に並べたクールなグッズを眺めてオシャレ気分を味わおうと思ったからだ。しかし、埃をはたくのが面倒だし、何よりオシャレグッズどころかガラクタばかりで、眺めてるとみすぼ…

フォントサイズ

絵文字のスクリーンセーバーを作ろうと思い、特大サイズのフォントで絵文字を表示してそれをスクリーンショットで保存した。ランチから戻ってくると同僚が誤字の訂正依頼に来たので、一緒に画面を見ながら修正を行なおうとしたら、先程の特大サイズで文字が…

クリスマスカラー

案件を白紙に戻すと言われ私たちは青白い顔になった。部長の腹黒さに怒り、顔を真っ赤にして反論したが後の祭りだった。自席に着いて、年末は大忙しのはずが暇になったと、腹黒い部長に対して真っ赤になったり青白くなったりした先程を思い出すと、急にクリ…

デザイン

記事をデザイン中に、日本語の文章中にある英単語のフォントとか単語間のスペースとかのバランスが気になって仕方がなかった。ならばいっその事と、日本語は右から縦書きで、英単語が出たらそこから右へ横書きしていくという方法で文章を重層化したが、嵩張…

ネコの生活

ネコと同じ一日を過ごしてやるぞと、以前からウチのネコの自堕落な生活を羨ましく思っていたので後を付いて行ったが、今日に限って朝から寒空に飛び出すやいなや、塀の上を走ったり近所のネコと縄張り争いをしたりと非常に行動的で、すぐに筋肉痛になった自…

幹事

嫌々同窓会幹事を引き受ける事になった。渡された名簿を見たら連絡先が分からないためかセキュリティのためか、多くの文字が伏せ字にしてあった。これはだいぶ連絡をする手間が省けるなと思っていたのだが、自分の欄を見たら全て空白になっており、それはそ…

輪投げ

石油ストーブは石油を入れるの面倒だし、電気ヒーターは暖かみに欠けるし、コタツは離れられなくなるし、床暖房はそもそも設置する余裕がないし、いったい何を買ったらいいのだろうと、この堂々巡りという輪を用いた輪投げがあれば、もう何年も続けているの…

情緒

月が魅力的なのは夜空を美しく照らすからなのか、それとも満ち欠けにより異なる表情が見ているものを叙情的な気分にするからなのか。そんな風に月が美しい理由を理詰めで求めようとしている自分は何と情緒という言葉とかけ離れているのだろうと思いながら長…

世知辛い

若手が多い部署に異動となった。「辛い食べ物は好きですが、世知辛い人間関係は苦手ですので仲良く頑張りましょう」と挨拶したらウケなかった。「今までも同じような挨拶をしたが、愛想笑いくらいはあったのに」とぼやいたら、「世知辛いも世辞笑いもいらな…

鍋奉行

部長同席の鍋で、鍋奉行と言うのは町奉行か、寺社奉行か、それとも勘定奉行かという話になった。経理部門が長い部長は勘定奉行が嬉しいかなと察して言ったら、勘定奉行だから会計はきっちりするぞとドライだったものの、結果いつもより多く払ってくれた。何…

一人鍋を学ぶ会が盛況だという。一人で鍋をするほど寂しい状況ゆえ人恋しさで参加するのか、それともより美味しい鍋を真剣に模索しようと参加するのかは不明だが、会に参加する事も一人鍋を行なう事もどちらもSNSに上げるネタとして使えるというのが理由では…

微睡み

赤ちゃんがまどろむ姿を眺めると何でも許せてしまう気分になる。これを使わない手はないと思い、ボーナスで買いたいものを書いたメモを胸に乗せ、まどろんだ表情を浮かべてソファーで寝たが、効果はなかった。起きた時、「せめて靴下置いてお願いする位で留…

参考書

「私にとって参考書みたいな存在です」と後輩に言われ誇らしげでいた。しかし、同期でトップの成績の彼女が、すぐにダジャレでトラブルを逃れようとする私の何を学びたいのだろうと思い、久々に参考書を手にしてみたら、章の間のCoffee Breakというコラムが…

コタツ

コタツを出す前は、コタツをいつ出そうかという誘惑と戦い、コタツを出してしまえば、コタツに早く入りたいという誘惑と戦い、コタツに入ってしまえば、ずっとコタツの中で過ごしていたいという誘惑と戦い、冬が訪れる度に、そんな強敵ともうかれこれ長い年…

無料

海で貝殻を拾ったのでタダで彼女へのプレゼントができたと言ったら友達も真似した。デートの時、彼女に渡そうとしたら「潮干狩りしたの?」と聞かれた。友達がSNSに潮干狩りという名で写真を上げたようだ。ムードがなくなった状態で無料のプレゼントを渡すの…

紅葉

この村では今年から秋に木々が葉を赤や黄色に染めるのをやめたそうだ。だからといって紅葉がなくなったのではない。冬が来る瞬間まで葉を緑に保ち力強く生い茂っているさまを観光客に見せたいという木々の粋な計らいなのだ。そんな風に想像して、紅葉には少…

課長が昇進祝いの席で、「私なんて部長に昇進できる器ではないのに」と言ったので、「いっつも水が溢れちゃってうちら大変ですよ」とからかった。すると、「まあ、彼みたいに日常的に業務が焦げ付いちゃってる奴がいるので今後も適度に水とハッパを掛けてい…